2017-07-06

リトル・ベネチア。

 先日、またロンドンへのフライトがありました。 今回はトロントからハリファックスまで飛んで、そこからロンドン・ヒースロー空港へのフライトで、帰りはロンドンからオタワまでのフライトで、オタワからトロントまではデッドヘットという感じでした。 

 ハリファックスからロンドンまでのフライトは5時間ちょっとと、それほど長くはありません。 ただ、ハリファックスを出発するのがトロント時間のちょうど真夜中くらいで、夜通し飛んで、ロンドンに到着するころにはトロント時間で午前5時過ぎくらいになります。 これがロンドン時間だと午前10時頃。 もうなにがなんやらわかりません(笑)。

 ロンドンからオタワは結構長くて、約7時間のフライトです。 そもそもオタワはハリファックスよりも西に位置し、さらに西向きのフライトになると偏西風のせいで向かい風で飛ぶのがほとんどです。 そのため、飛行時間が長くなります。 この7時間のフライトがが結構きつい・・・(苦笑)。 いっそのことフライト時間がもっと長くなれば規定に則って「オーグメントパイロット」という3人目のパイロットが乗務することになります。

 このオーグメント(augment)とは「増大させる」という意味の言葉で、文字通り、「飛行可能な時間・距離を増大させるためのクルー」という意味になりますでしょうか。 飛行時間が10時間を超えるようなフライトになると必ずオーグメント、または、リリーフパイロットという3人目・4人目のパイロットが乗務し、フライトの途中で交代しながら休憩・仮眠を取ります。 こうでもしないと到達できないところがあるんですね。 例えばトロントから中国へのフライトなどは飛行時間が軽く10時間を越えますから、これを二人だけのクルーで飛んでいるとそもそも法的に乗務できない場合が出てきます(一度に乗務できる時間は制限されていますので)。 

 なにはともあれ、今回のロンドンまでのフライトもいつもどおりスムーズに行きました。 相変わらずイギリス英語の航空無線に苦労させられることもありますが、3度目ともなるとだいぶ慣れてきました。 何事も慣れですね、本当に。 ロンドンは毎回どこかでホールド(空中待機)させられます。 我々がロンドンに到着するころに、同じようにロンドンの空域に入ってくる航空機の数が多すぎて管制官がさばききれなくなるので、どこかで空中待機をさせられます。 今のところ毎回オッカムという場所にある航空無線標識局の上でぐるぐる〜っと旋回させられます。 だいたい時間にして10〜15分ほど。 そして我々の着陸の順番が来るとレーダーベクターとスピード制限で細かくコントロールされ、最終的に着陸ということになります。 ロンドン空港は独特なあるあるが結構あります。 これはまた次回にでも。

 今回のレイオーバーでもいろんなところに足を運びました。 まずはオールドボンド通りなどの商店街を通ってイギリスで有名な靴屋さんを何件か回りました。 ちょうど今はセールの時期なので、いたるところでバーゲンをやっていました。 僕は結局なにも買いませんでしたが、イギリスの昔からの職人が作る革靴というのはとても魅力的で、お店に入るとレザーの匂いに圧倒されます。 そういう体験ができるのも実際にロンドンに行ったからこそ。 良い体験をしました。 それからはピカデリーサーカスやオクスフォードサーカスといった有名な通りを歩きました。 翌日にはランニングで運河沿いに散策してみました。 

 グーグルマップを見ていて気付いたのですが、ロンドンには「リトル・ベネチア」という場所があります。 運河が交わり、ボートハウスなどがあってなかなか雰囲気が良いです。 カナダに帰る数時間前にここを走ってきました。 ワイドボディのパイロットになって海外に来ることが増え、こういう貴重な経験をレイオーバー中にできることがなかなか楽しいです。 時差ボケや夜中中フライトするなど辛いこともありますが、それでもナローボディーで国内を飛んでいるのとは違った楽しみがあると思います。

 では今回のレイオーバーの様子を写真でどうぞ。
 
 ハリファックスで出発前に食べた夕食。 ラザニアでした。

ロンドンのイーストエンド。 テロなどがあったせいか、至る所に「ロンドンはすべての人々を歓迎します」的なメッセージが掲げられていました。 日本語でようこそって書いてあるのもちょっとおちゃめ。

ピカデリー・サーカスと2階建てバス

リトルベネチアにつながる運河とボートハウス。 ボートハウスには実際に人が住んでいて、船の外でモーニングティーを飲んでいる人を見かけることもあります。

リトルベネチア。 船のクルーズなどがあるみたいです。


 ロンドンを出発し、7時間ほどのフライトを経てオタワに到着しました。 それから税関審査・入国審査を経て、30分後にはトロント行きのデッドヘットフライトに乗っていました。 予定では2時間ほど後のフライトでトロントまでデッドヘットの予定でしたが、うまいこと早い便に乗ることができました。 こういうのはベテランパイロットが良く知っています。 今回も一緒に飛んでいた機長がいろいろ知っている人で、「2本早いフライトで帰るぞ!」って意気込んでいて、見事に早い便に乗ることができました。 一般の乗客として旅行していたら30分で入国審査や身体検査場を通過するのはほぼ不可能です。 我々はクルーバイパスと呼ばれる空港で働く職員などが通る特別な入り口を通るので圧倒的に早く身体検査などを通過することができます。

 

(つづく)

2017-06-16

ロンドン・ロサンゼルス。

 先日、ロンドン行きのフライトに乗務しました。 767はロンドンへは直接飛ばす、一度ハリファックスを経由します。 そこからロンドンへは6時間弱のフライトです。 トロントを出たのが午後6時過ぎ。 ハリファックスまでは約2時間のフライト。 ハリファックスを出発してロンドンへのフライトは夜中のフライトということになります。 

 ロンドンへ行くのは今回が2回目です。 前回は僕のラインチェックでした。 ラインチェックというのは、フライトテストが終わり、型式証明を取得した後に実際のフライトを通して行うLine indocの最終段階に行われるテストです。 一緒に飛ぶのはラインチェックキャプテンで、フライト中にいろいろ質問をされます。 実際の乗務を通じてちゃんとオペレーションを理解しているか、必須事項をちゃんと理解しているかを試すテストです。 僕のラインチェックは4月でしたので、今回のフライトはそれからだいぶ経っています。

 前回ロンドンに行った時はPM(Pilot Monitoring)でした。 操縦はキャプテンがして、僕は無線やその他の業務を担当していました。 ですが、今回は僕がPF(Pilot Flying)。 実際にハリファックスを離陸し、ロンドンでの着陸までを僕が操縦しました。 

 ロンドンですが、英語の訛りが強く、また、いろいろな独特の言い回しがあり、理解するだけでも最初は大変です。 ロンドンヒースロー空港は大変忙しい空港で、毎回ほぼ間違いなくホールドさせられます。 スピード制限も毎回されますし、なかなか大変な空港という印象です。 でも、今回は2回目ということもあり、前回とは違ってだいぶ落ち着いて対処できました。 操縦も我ながらそこそこ上手く行き、満足のいくフライトが出来て嬉しく思いました。

 ロンドンのレイオーバーは約24時間。 まずはホテルにチェックインした後はシャワー、そして数時間の昼寝をします。 カナダ時間で夜中中乗務したことになるので、身体は結構クタクタです。 昼寝の後は街を散策します。 今回はランニングウェアを持ってくるのを忘れてしまったので、ホテル近くにあるCamdenという街まで運河沿いに歩くことにしました。





 (写真上:到着ゲートのお隣は超大型機ばかり)

(写真上:ヒースロー空港外にあるエミレーツのエアバス380型機の縮小版)
 
  
(写真上:ホテルからCamdenまでの運河沿いの散歩道)
 
(写真上:運河ではカヤック教室もやっているようです)
 
 (写真上:運河沿いは散歩道になっていて、多くの人が歩いています)
 
(写真上:運河にはボートハウスが多く停留しています)
 
(写真上:Camdenはマーケットが開催されていて、多くの人で賑わっていました)
 
 
(写真上:いろんな食べ物を販売していて大盛況です)  

  
(写真上:真ん中にはコンコルドが駐機されているのが見えました)


 ロンドンを出発し、ハリファックスへ向けてフライトしました。 天候もよく、出発前はちょっと待たされましたが、その他は極めて順調でした。 ハリファックスに到着し、ここで一泊しました。 ここでもレイオーバーは24時間ほどだったため、街を散策しました。 ここに来るのは以前の会社の時のレイオーバー以来で、1年以上前だったように思います。

(写真上:東海岸らしい家並みです)

 (写真上:Prince of Wales Towerという要塞のようなところに行きました)

 レイオーバー中には機長と一緒に食事にいったり、散歩をしたり、充実した時間を過ごしました。 そして翌日にはトロントに戻りました。

 ところが、トロントに向けて離陸してしばらくしたところでCrew Schedulerからメッセージが届きました。 「トロントに着いたらそのままバンクーバーに行ってね」っていう内容でした。 トロントに着いたら3連休だったので、「え〜?!」って思ったのですがリザーブパイロットなので仕方ありません。 はいはい、と了解したのですが、その後、また連絡が来まして、「ごめん、さっきのメッセージはなかったことにして。 今度はLAまで飛んでね」っていうメッセージでした。 トロントに着陸後、2時間後にはロサンゼルス行きの便に乗務していました。 リザーブパイロット、なにが起こるかわかりません(苦笑)。

 ロスに行くのは今回が初めてでした。 キャプテンも新米キャプテンで、ロスに行ったことがあるのは数回、しかも最後に行ったのは1年以上前ということで、フライト中にはルートマニュアルという会社が作成しているマニュアルを見て勉強しました。 天気もよく、気持ちの良いフライトになりました。 LAは忙しい空港でしたが、思ったよりもスムーズに進み、なにも問題なくゲートに到着。 なかなか楽しいフライトでした!

 ロスでのレイオーバーは30時間! いろんなところを歩いて回りました。 

(写真上:さすがロス、ヤシの木が生えていて、空が青く、常夏です)

   
(写真上:Queen Maryという客船を観に行きました)


(写真上:新婚さんいらっしゃい!でもおなじみ、ロングビーチです)

(写真上:ロングビーチにはサイクリングロードや歩行者専用路が完備されています)

 最初は2泊3日の予定で仕事にいきましたが、家に戻ってこれたのは5日後になりました。 これからは下着や替えの服をもうちょっと持っていこうと思ったのでした・・・。


(つづく)























2017-06-05

転職後初めての休暇と、バンクーバーへのフライト。

 1月後半から訓練を始め、なんやかんやとバタバタと訓練やら仕事をしてきましたが、5月の後半に1週間の有給休暇をもらえましたので、いろんなところを観光してきました。 今回は主に写真でどうぞ。


 (トロント島クルーズから見るトロント・ダウンタウンの風景)

 (ナイアガラの滝)

(カナダ唯一のMLBチームであるトロント・ブルージェイズの試合を観に行きました。 この日の対戦相手はテキサス・レンジャーズで、投手はダルビッシュでした!)
 
 (ニューヨーク・タイムズスクエア)

 (マンハッタン島)

 (自由の女神像)


 休暇が終わり、昨日までバンクーバーへのフライトでした。 夕方にトロントを出発し、バンクーバーに到着したのも夕方。 フライトは約5時間ですが、時差が3時間あるため、夕方6時に出発したのにバンクーバーに到着したのが8時くらいです。 変な感じがします。 インナーハーバー近くのホテルにチェックインしたあとはロブソン通りのラーメン屋に行って来ました。 翌日は丸一日お休みだったので、スタンレーパークにランニングに行って来ました。 そのときの写真がこちら。
 


 走り出したときは5〜7キロくらい走ればいいやと思っていたのですが、スタンレーパークの海岸線を走っていたら、いつのまにか12キロほど走っていました。 おかげで次の日は足がかなり重かったです。 ランニング後はちょっとだけ買い物をし、お昼ごはんは元生徒で今は僕が以前勤めていた会社でエアラインパイロットをやっている友達に会いました。 それから休憩をし、バンクーバーを出発したのが日付が変わって深夜0時25分。 夜中中フライトをし、トロントに戻ってきたのが午前7時過ぎでした。 家に戻ってきてシャワー、昼寝をし、夕方からは教官時代の元同僚と幾つかのバーやレストランをハシゴしてきました。 いろんなところに友人がいるのはありがたいです。

 今日から4連休で、今日は運転免許証の書き換え(アルバータ州免許からオンタリオ州免許)に行って来ました。 今住んでいるところはダウンタウン中心部からでも歩いて1時間ほどです。 車を手放してからというもの、休みの日には平均10キロ近く歩いています。 歩数も2万歩とかになります。 健康的な生活をしている気がします(笑)。


(つづく)



 

2017-05-15

ボーイング767。

 今日は僕が乗務しているボーイング767型機についてちょっとだけ。 主には以前乗務していた機材との比較になります。 それではどうぞ。

 ウィキペディアによれば、ボーイング767は「セミワイドボディ」という分類に入るそうです。 正直、この呼び方はウィキペディアを見て始めて知りました。 一般的は767は「ワイドボディ」と呼ばれることが多く、実際、フライト中にも無線では「コールサイン+"heavy"」と名乗ります。 

 ワイドボディの反対はナローボディで、違いは機内に通路が1本しかないか、2本あるかというので分類されているようです。 例えば、ボーイング737型機やエアバス320型機は客室内に通路が1本しかないので「ナローボディ」、一方、ボーイング777や787は通路が2本ありますので「ワイドボディ」と呼ばれます。 

 コクピット内には監査官などが座るための「ジャンプシート」が2席あります。 機長、副操縦士、監査官2名の最大4名がコクピットに座ることができます。 コクピット内は普通に立っても頭をぶつけることがないくらい天井が高いです(ただ、先頭に向かってスロープしているので、操縦席付近は当然ながら低いです)。

 客室内の座席数は211席です。 これは会社やオペレーションによって座席アレンジが異なります。 僕が働く会社でも、211席の767もあれば、282席の767もあります。 また、僕が飛ばす機体には前方にJ Class seat、いわゆるビジネスクラス席があります。 ビジネスクラス席は座面がフルフラットになり、各席がブースで囲まれていますのでかなり快適なフライトができます。 

 翼は約47メートルで、僕が飛ばす機体にはウィングレットがありません。 これだけ広い翼ですが、操縦席の窓からは一切見えません。 したがって、出発前には有る一定の外気温以下の場合には客席内の翼が見える座席の窓から翼の状態を確認します。 冬季や気温が低い時期には着氷や積雪があったりし、その場合にはde-ice作業をしてからの出発となります。 幸い、僕が訓練を終えたのはもう春先だったため、訓練以外でde-iceベイに行ったことはありません(笑)。

 一般的には毎フライト前にウォークアラウンド(出発前点検)をします。 安全ベストを来て外に出て、飛行機の周りを歩いて機体にダメージがないか、取れているパネルがないか、油圧系統からの液漏れがないか、タイヤのコンディションはどうか、エンジン内のファンブレードにダメージがないか等々を目視確認します。 767ではウォークアラウンドはほとんどしません。 というのも、特に海外へのフライトの場合にはメンテナンスの人たちがpre-departure check(PDC)という点検をすることが義務付けられているため、この作業の間にウォークアラウンドもやってくれているからです。 実際、僕が外に出てウォークアラウンドをしたのは訓練中を含め二度だけです。 

 今まで飛ばしていた飛行機はどれも胴体が地上に近く、機体の下をくぐるにはだいぶ身を屈めないといけませんでした。 767の場合は胴体下を歩いても頭はどこにもぶつかりません。 外からコクピットを見上げるとものすごく高いところにあることがわかります。 今でもコクピットからの眺めはとても高く感じます。

 767の操縦席の窓は大きく開けることができます。 ハンドルをこきこきを回すと窓枠がスライドし、身体を乗り出すのに十分な空間ができます。 万が一の緊急時にはここからロープを使って脱出します。 これだけ高い窓から外に下りるにはかなりの勇気がいると思います(汗)。

 とにかく重いです(笑)。 最大離陸重量は180トン以上です。 燃料だけでも70トン以上入ります。 CRJ-705の最大離陸重量は40トンほどだったことを考えると767は圧倒的に重いです。

 オートスロットル装置が備わっていますので、コンピューターが自動でエンジン出力を調整してくれます。 手動で操作したり、オートスロットルをオーバーライドすることもありますが、巡航中にはほぼ100%オートスロットルがプログラムされた巡航速度を保つように出力調整します。 これのおかげで巡航はだいぶ楽です。 CRJにはオートスロットルはなかったため、巡航中は常にスラストレバーをちょこちょこといじってスピード調整をしていました。 山岳地帯上空を飛ぶ時には「マウンテンウェイブ」と呼ばれる乱気流の波が起きることがあるのですが、その中を飛ぶときなどは手動スラストではなかなか大変でした。 オートスロットルも万能ではないので結局はパイロットがコントロールしますが、それでもだいたいの場合にはオートスロットルの自動制御で十分事足ります。 そしてスラストレバーはめちゃくちゃデカいです(笑)。 教官いわく、「男のスラストレバー」だそうです(女性差別の意図はいささかもありませんのでご了承ください)。

 なにせ80年代に製造が始まった機体ですのでいろんなところが古いです。 コクピット内の照明、パネルのカラーリングなど、ちょっとしたところに昭和の香りがします(カナダなので昭和ではないかもしれませんが・・・)。 そういった意味ではDash8と似ている感じがします。 CRJは90年代の飛行機だったため、モダンな印象を受けました。

 コクピット内でのクルー同士の会話は肉声です。 今まではヘッドセットをして、インターコムで話しをしていました。 767にはインターコムはあるのはあるのですが、フライト中にはほとんど使うことはありません。 というのも、自分の声を隣にいるパイロットのヘッドセットに流すには毎回発信の度に発信ボタンを押しながらしゃべらないといけないからです。 これは面倒臭い。 したがって、酸素マスクを装着するとき以外は基本的にはマイクを通さずに話をします。 コクピット内は比較的静かですが、機長の中には超ソフトな小声で話す人もいて、そういう人との会話は難儀します(笑)。

 以上が僕がこれまで乗務してきて感じた感想の一部です。 767はなかなか面白い飛行機で、今のところとても気に入っています。


(つづく)
 

2017-05-08

トロントで生活を始めて。

 トロントに引っ越してきて2週間あまりが経ちました。 あまり休みがないのでトロントを満喫しているとは言えませんが、時間を見つけては住んでいるところの近郊を散策しています。
 
 トロントは東海岸で、今まで僕が住んできたビクトリアやカルガリーとはだいぶ感じが違います。 気がついたことを写真でお伝えしましょう。

なぜかトロントには多くの廃墟的教会が存在し、その多くがコンドミニアム・マンションへと改築されています。


 街中にランドロマット(コインランドリー)があります。 どうやらトロントの住宅の中には洗濯設備がない物件が多いようです。 

さすが大都市。 いたるところにグラフィティ(落書き)があります。 個人的には好きではありません。

レンガ造りの住宅が多くあります。 これは地震がある西海岸ではあまり観ない光景です。 レンガ造りの家は素敵だと思います。

 写真はありませんが他に気になったことをいくつか。

  • いろんな人種の人がいますが、特に黒人・アラブ系の人が多いように感じます。
  • 一方、アジア系の人の数は西海岸に比べると圧倒的に少ないような気がします。 こちらでは僕は圧倒的マイノリティー(少数民族)のように感じます。
  • 街を歩いているとホームレスのような人を多く見かけます。
  • カルガリーでは窓ガラスが割れた車を多く見かけました。 それは、冬の間の路面凍結対策として小石・砂を道に撒くためで、それがタイヤに挟まって打ち上げられ、それが窓ガラスにあたってガラスを割ってしまうためです。 トロントの車の窓ガラスは割れていることはほとんどないようです。
  • 絶対的にモノが多い印象を受けます。 欲しいものはすべて手に入るような印象です。
  • エスプレッソバーがいたるところにあります。 
  •  貧富の差が住宅を見れば一目瞭然でわかります。 裕福な家があるエリアがある一方、道を挟むとそこは貧困層の住宅、ということがよくあります。 
  • 地下鉄・路面電車・バス等の公共交通機関の便が良いです。 

 以上がこれまでの観察の結果です。 なかなか面白い都市という印象を受けますが、やはり慣れるには時間がかかると思います。


(つづく)

 

2017-05-02

マウイ島。

 僕は現在のところ、767の副操縦士の中で一番セニオリティが低く、リザーブという扱いになっています。 多くの航空会社では「ブロックホルダー」と「リザーブ」というパイロットのスケジュールポジションがあります。 「ブロックホルダー」のパイロットは当該月のスケジュールが予め決まっていて、いつ、どこに、誰と飛んでいくのかが前もってわかっています。 一方、「リザーブ」の場合は補欠人員的扱いになり、誰かが病欠したり、天候や飛行機の故障などの理由でフライトスケジュールが狂い、どうしてもパイロット追加で必要になった場合に呼び出しされるパイロットのことを指します。 今の会社では僕はリザーブです。 したがって、リザーブである日は決まっているのですが、いつ飛ぶのかは会社から電話がかかってくるまで分からないという感じです。 個人的にはリザーブは嫌いです(涙)。 電話がかかってきて仕事に呼び出される場合、最短で2時間以内に空港に到着できなければいけません。 したがって、リザーブの日には例え仕事をしていなくてもどこか遠くに遊びにいったりすることはできません。 以前やっていたメディバックの仕事とどことなく似ています。
 数日前、本来はお休みであるはずだった日の朝、クルースケジューラーから電話がかかってきました。 「今日の午後からマウイへのペアリングだけど、行く?」って聞かれ、「行く、行く」と二つ返事で仕事をすることにしました。 今はまだ引っ越しが完了しておらず、カルガリーから送った荷物も届いていないため、家にいても特にすることもないし、家財道具がないので生活がしにくい状態です。 仕事に行けばホテルに泊まれるし、余計な心配をすることもない。 さらにはなるべく今のうちに飛んでおかないと新しい飛行機の飛ばし方の勘が鈍ってしまいます。 しかも行き先はハワイのマウイ島! いくしかないでしょ?って感じでいってきました。

 このペアリング、ちょっと不思議な感じで、まずは1日目にトロントからバンクーバーまでのデッドヘッド(移動)。 そしてバンクーバーからマウイ島までまたもやデッドヘッドです。 そしてマウイ島で24時間のレイオーバーがあり、それからやっとマウイ島からカルガリーまでのフライトを担当するという感じのペアリングでした。

 機長も一緒にトロントからデッドヘッドで、彼とはトロントのフライトプランニングルームで落ち合いました。 彼は超カジュアルな普段着で登場(笑)。 一方、僕はばっちりユニフォームでした。 結局、バンクーバーで税関を通過した後に普段着に着替えましたので、バンクーバーからマウイまでのフライトではビールを飲んで、iPadで映画を観て超リラックスムード。 楽チンな仕事だなぁ〜と思っている間に約6時間でマウイに到着。 初めてのハワイです。

 着いたのは午後9時過ぎ。 外は土砂降り。 僕の同僚が数日前までマウイに来ていたのですが、彼がいた時は快晴で、サーフィンなんかを楽しんでいた写真を送り付けてきていたのですが、僕の時は土砂降り。 ついていません。

 それでも次の日には雨はおおかた止み、外に走りに行ったり、ホテル周辺を散歩したりできました。 ホテルも通常泊まるホテルは満室で、空港近郊のホテルに泊まることになりました(ダブルパンチ)。

 雰囲気を写真でどうぞ。

 (写真上:ホテルから見えた火山)

 (写真上:野生の鶏?がたくさん闊歩していました)

 (写真上:咲いている花や生えている木々がやはり南国的)

 (写真上:ハイビスカス?とヤシの木)

 (写真上:アップルバナナという名前のバナナ。 酸っぱいバナナでした(笑))

 24時間の滞在のあと、午後10時頃にマウイ空港を出発。 空港周辺には雷雲もあったり、気流が安定していないところもありましたが、概ね良好なフライトコンディションでした。 初めてのマウイでしたが、特に戸惑うこともなく、快適なフライトを楽しみ、約6時間後にカルガリーに着陸しました。 その後、カルガリーで一泊し、今日朝一番のフライトでトロントまで戻ってきました。

 イギリスに渡るときの大西洋横断に比べ、太平洋横断は手順が楽です。 大西洋横断は交通量が多く、そのためもあってか特別な手順がいくつかあります。 一方、太平洋横断はカナダ国内を飛んでいるのとさほど違いはありません。 僕は太平洋のほうが好きです(笑)。



(つづく)

 

2017-04-20

最終審査終了。

 昨日、約3ヶ月に渡って行われてきたボーイング767副操縦士の訓練のすべてが終了しました。 いや〜、長かった! 毎回訓練を受けると長く感じますが、今回の訓練は今までで一番長く、そして大変なように感じました。 会社も変わり、機種も変わり、はたまた飛ぶルートも変わり、なにもかもが新しいことばかりで精神的にも結構疲れました。 でも、訓練が終わった今は頑張ってよかったな〜と思っています。

 シミュレーター訓練が終了した段階でボーイング767の型式証明は取得できましたが、訓練はそこでは終わりません。 今度は実際のラインフライトを通じて行われるLine-indoc訓練が待っていました。 今までシミュレーターでは万が一のトラブルに備えるための訓練が主でしたが、line-indocでは実際にお客さんを乗せて運航する通常のフライトでのオペレーションを学びます。 

 最初のフライトはトロントからバンクーバーまでの往復でした。 実際に200名近いお客さんを乗せて飛ぶのはシミュレーターとは少し違いました。 フライト中にPilot Monitoring(操縦していない方)としての業務なども多く学びました。 始めての着陸はかなり緊張しましたが、思ったよりもうまくいきました。 多くの機長いわく、「ボーイング767は巨大なセスナ172」なんだそうです。 たしかに、手動操縦でも操縦しやすく、安定しています。 コクピットは今まで飛ばしてきたどの飛行機よりも高いところにあるので、アプローチ中の外の見え方がかなり違います。 椅子の高さが高すぎるんじゃない?って思うくらいに座高を調整します。 

 2回目のペアリングでは成田空港にいきました。 アメリカ・カナダ以外の外国へのフライトは初めてで、太平洋を横断してのフライトでした。 このフライトは10時間ほどのフライトだったので、機長、僕、そしてもう一人の副操縦士の計3名体制でのフライトでした。 途中で3時間ほどの休憩を取ることができたので疲れは思ったほど酷くはありませんでした。 ただ、緊張のせいもあり、前日はあまり眠れなかったし、飛行中の休憩でもほとんど眠れませんでした。 ボーイング767にはバンクベッドがないので、ビジネスクラスの一番後ろの席をカーテンで囲い、外のお客さんから隔離された空間で休憩を取ります。 シートはフルフラットになるのでかなり快適です。 成田空港へのアプローチは日本人管制官の英語に戸惑うことが少々ありましたが、比較的スムーズに行ったと思います。 僕が長年夢見てきた、「パイロットとして日本へ飛んで帰る」ことが実現した瞬間でした。 
(写真上:ロシア、北海道東部を通過して成田へアプローチ)
 
 (写真上:ANAが成田では業務を担当してくれています)

 (写真上:成田山)

 東京でのレイオーバーは丸一日。 到着当日はクルーと共に成田市内のバーやラーメン屋などを周り、楽しい時間を過ごしました。 成田にはエアラインクルー御用達のお店が多くあるようです。 そこは僕の知らない日本でした。 翌日はイオンモールに行き、ちょっとだけ買い物をし、成田山へも足を伸ばしました。 東京にいる友人達にも会いたかったのですが、なにせ短いレイオーバーだったので今回は断念しました。 

 (写真上:成田山では桜が綺麗でした)

  成田からの出発では僕が操縦を担当しました。 燃料をかなり積んでいるので、離陸の際はとても重く、滑走距離もかなり長いです。 これにも慣れが必要です。 

 こうして2回目のペアリングが終了。 1日だけ休みがあり、その後、今度はロンドンへのフライトとなりました。 そして、これが最終審査のペアリングでした。

 今度は大西洋を横断してイギリスまでいきました。 大西洋横断はちょっと特別で、いろいろ知って置かなければいけないルールがあります。 訓練中にちょっとだけ習いましたが、実際に体験するのはこれが初めて。 機長は監査担当ではありますが、それでもこれが僕の初めての大西洋横断ということもあり、いろいろ細かく指導してくれました。 

 ロンドンへのアプローチではほぼ毎回どこかでホールドさせられます。 僕達は約10分間、VORの上空を旋回させられました。 イギリス英語の訛り、独特の言い回し、そして喋る速度が極端に速いので、航空無線を理解するのが大変でした。 

 ロンドンの滞在ホテルは空港から1時間弱のところで、ビートルズで有名なアビーロードの近くです。 チェックイン後は3時間ほど昼寝をしました。 本当はもっと眠れましたが、そうすると時差ボケになってしまうので無理をして起きました。 そしてアビーロードやホテル周辺を散策。 その後は勉強をしました。 夕方は機長や他のクルーたちとバーやインド料理屋にいきリラックスした時間を過ごしました。 

 (写真上:アビーロード)

翌朝、ロンドンにあるハイドパークというところまでランニングしました。 この時とても不思議な感覚に襲われました。 ほんの数日前には成田市内を散策していたのに、今はロンドンでジョギングしている。 一体自分はどこに属しているんだろう?という不思議な感覚です。 国際線パイロットの生活はとても不思議です。

 (写真上:緑豊かなハイドパーク)

ロンドンからカナダに戻るフライトが最終審査となり、巡航中にいろいろ緊急時の対策などについて質問されました。 いくつか答えるのに困る質問もありましたが、概ね問題なく回答でき、機長も納得してくれたようで、カナダに着陸するだいぶ前に「Welcome to Boeing 767!」と言って握手をしてくれました。 これで審査が終了しました。 

 オタワ空港に到着し、今度はそこからトロントまでのデッドヘッド。 そして、カルガリーまでのフライトと、24時間以上起きっぱなしでした。 しかも帰りのフライトでは隣に小さなお子さんを連れたお母さんが座っていて、このお子さんが泣きまくりでかなり大変でした(笑)。 なにはともあれ、午前2時前にカルガリーの自宅に久しぶりに戻ってきました。

 こうして長かった訓練が一応終了しました。 英語では「drinking from the fire hose」とか、「fire in the helmet」という表現で訓練の大変さを表します。 覚えることが多すぎて頭がパニック状態になることがなんどもありましたし、今まで出来ていたことが突然できなくなったり、明らかに習得度合いが落ち始めたときもありました。 それでもなんとか乗り切ることができ、晴れてボーイング767の副操縦士としてチェックアウトできたことはとてもうれしく思っています。 

 次回はボーイング767について少し書こうかと思います。


(つづく)