2017-11-12

南国・バルバドス。

 昨日まで3日間、南米カリブ海にあるバルバドスまで行って来ました。 クルースケジューラーから電話があり、「バルバドスまでレスキューミッションがあるから行ってきて〜」って言われましたが、はたしてバルバドスとは一体どこにあるのかさっぱりわかりませんでした。 マップで見てみたら、こんなところにありました (写真下)。

  
 カリブ海のもっとも東にあり、東は海を超えるとアフリカという位置です。 途中には「バミューダ・トライアングル」でおなじみのバミューダ島があり、そこの空域を通過して南下します。 赤道にもかなり近く、南米はすぐそこです。 こんなに南に飛ぶのは今回が始めてでした。

 で、なんでこんなところに行くことになったかというと、なんでもカリブ海の大型クルーズ客船が航海中にエンジンルームからの火災で運航不能になったらしく、そのクルーズ客船の乗客数千人がバルバドスで足止めを喰らっているということで、その乗客(ほとんどがアメリカ人)をアメリカのニューヨーク(ニューアーク空港)まで送り返すためのチャーター便を飛ばすことになったそうで、 そのフライトを担当するために呼ばれました。 3日間のペアリングで、1日目は乗客ゼロでパイロット数名とフライトアテンダントのみを乗せてトロントからバルバドスまで飛びました。 飛行時間にして5時間ちょっとです。 

 初日の到着は夜でした。 空港は結構ガランとしていていました。 バルバドスは人口の9割がアフリカ系ということで、空港や町で見かける人々はほぼ全員黒人さんです。 アジア系は僕とフライトアテンダントの数名くらい。 白人はほとんどが観光客です。 気温は夜でも30度近く。 海に囲まれていることもあり、とにかく蒸し暑かったです。 気温ゼロ度近いトロントからいきなり30度近くの気温になると結構体力を消耗しますが、暑いのは嫌いではありません。


 (写真上:バルバドス・グラントレー・アダムス国際空港)

(写真上:バルバドス・グラントレー・アダムス国際空港)

  
(写真上:バルバドス・グラントレー・アダムス国際空港)


 二日目は朝にバルバドスを出発し、アメリカ東海岸のニューアーク空港まで行きました。 この日はフライト時間が往復で10時間ほどになり、勤務時間が13時間と長丁場になるため、リリーフパイロットが同行しました。 というわけで、計3名での運航です。 おかげでフライト中は交代で休憩を取ることができました。

(写真上:飛行機への乗り降りはタラップです。)
 
バルバドスを離陸後、綺麗な景色が広がります。 アメリカ東海岸に到達するまではずっと海上をフライトします。 途中で積乱雲が多く存在し、高度を変えたりルートを変えたりして雲を避けながらのフライトになりました。 

(写真上:洋上フライトは景色が綺麗です)

 ニューアーク空港空港に到着後、乗客の皆さんが飛行機を降りた後、クルー全員でまとまって税関を通過し、そのままUターンして飛行機に戻りました。 そしてまたバルバドス空港に戻る準備をしました。 アメリカには1時間ほどしかおらず、燃料を補給し、ドアを閉め、またバルバドスまでのフライトです。
 
 バルバドスに戻ってきたのは午後7時頃でした。 初日は短いレイオーバーでしたが、二日目はやや長めのレイオーバーでした。 ところがここで問題発生! クルーのホテルの予約がうまく入っておらず、ホテルを3軒もたらい回しにされ、着陸から3時間後にやっとホテルにチェックインできました。 なんでも、クルーズの乗客が多く滞在しているのでホテルがどこも満室で、さらには現地の航空会社がストに入ったとのことで、これまた多くの人が島で足止めを喰らっていたそうで、これがホテルの満室度に拍車を掛けた形となりました。 その夜はクルーとホテルのプールサイドで食事をし、ビールを飲みました。 

 次の日は正午にホテルからピックアップされることになっていたので、午前中はフリー。 せっかくなのでホテルの周辺を散策しました。 

(写真上:滞在したホテル)
 
  
(写真上:ホテルの前ではフルーツスタンドでパイナップルを切る光景が見られました)

(写真上:ビーチ沿いにボードウォークがありました)

(写真上:気温30度以上! 南国です。)

(写真上:道は細く、日本と同じ左側通行です。 走っている車のほとんどは日本からの輸入中古車です)

(写真上:ビーチはどこも白い砂浜と青い海で、美しいの一言。)


 3日目もニューアーク空港までまず飛んで、そこからトロントにフェリーフライトという感じでした。 空港に到着し、乗客の皆さんが待っているロビーの前を通ると拍手が起こりました。 どうやら、乗客の人たちは数日も島から出ることが出来ず、不満たらたらだったようで、そこにようやくパイロットや客室乗務員が現れたことで「やっとアメリカに帰れる!」という安堵感からの拍手だったようです。 なんだかちょっとヒーローになったような感じでした(笑)。 

 ニューアークまでの洋上でもやはり積乱雲が多く発生していて、結構揺れました。



(写真上:島々はどこも海がエメラルドグリーンです。)


 上の写真は気象レーダーの写真です。 黄色や赤が積乱雲です。 ニューヨーク航空管制に飛行高度を36000フィートと制限されてしまったため、途中で積乱雲を避けきれることが出来ず、雲の中を飛ぶ時間がしばらくありました。 結構揺れました(笑)。 

 トロントに戻ってくると気温はゼロ度。 バルバドスに行っている間にトロントでは初雪が降ったそうです。  暑いところもいいですが、凛とした冷たい空気も悪くありません。
 
 今回一緒に飛んだ機長はジャマイカ出身のパイロットで、カリブ海の地理をよく把握していて、フライト中にいろんなことを教えてくれました。 おかげでとても楽しい初めてのカリブ海へのフライトとなりました。 バケーションで行ってみたいところですが、物価が結構高い場所のようです。 でも、英語が通じるし、海は綺麗だし、いいところだという印象を受けました。 たった小一時間外を歩いただけでも日焼けしました。 そろそろ休暇が欲しいところです。


(つづく)
 


2017-10-30

半年経ちました。

 現在の会社で767の副操縦士として仕事を始めてから半年が経ちました。 今年の1月に転職し、4月に767を操縦する資格を取得し、それからずっとリザーブ副操縦士としてバタバタと半年があっという間に過ぎたという印象です。 前の会社ではほとんどリザーブをしたことがなく、毎月スケジュールが与えられていたので予定を組むのが簡単でしたし、日本に帰国することも問題ありませんでした。 今の会社では少し勝手が違って、日本にはしばらく帰っていません。 半年前にline-indoc訓練中に一度成田に行きましたが、実家には帰れていません。 夏に一度帰りたかったのですが、こればっかりは仕方ありません。 近いうちになんとか帰りたいと思っています。 

 半年が経ち、またもやシミュレータ訓練の時期がやってきました。 本当は今月の12,13日にシミュレータ訓練の予定でしたが、前日の11日のリザーブ日に仕事に駆り出され、ロンドンに行きました。 その結果、予定の訓練はキャンセル。 一緒に訓練をする予定だった機長とは以前に飛んだことがあり、とても良い人で、訓練を楽しみにしていたので、訓練がキャンセルになったときは不満たらたらでした(苦笑)。 ま、これもリザーブパイロットの宿命として捉えるしかありません。 

 結局、今月29日、30日に訓練がスケジュールされ、今日、訓練を無事に終了しました。 今回の訓練はトロントで行われました。 最初の訓練はバンクーバーで、今回はトロントです。 シミュレータのカテゴリがやや違い、僕の同僚からは「トロントのシミュレータはバンクーバーのそれとは勝手が違う」的な情報を得ていたので、どうなることかやや不安がありましたが、鈍感な僕には違いがまったくわかりませんでした(笑)。

(写真上:シミュレータの外観)

(写真上:767フライトシミュレータ)
 
1日目の訓練では緊急事態の手順などのおさらいをまとめてやる感じでした。 離陸直前にエンジンが停止したり、巡航中に失速したり、はたまたエンジン火災が起きたり。 本当にいろんなことが短時間で起こります。 それらを定められた手順に基いて解決し、無事に着陸。 半年ぶりの離陸途中のエンジン停止はやや緊張しましたが、身体はしっかりと覚えているようで、特に問題なく離陸を継続し、無事に出発空港に引き返し、安全に着陸できました。 

 2日目は緊急事態が起きたときにいかに機長・副操縦士が連携して問題を解決し、無事にフライトを安全に継続できるかというところに重点を置いた訓練でした。 エアコンディショニングの問題、油圧系統の故障、そして燃料漏れなど、いろいろなことが起きましたが、これも無事にクリア。 教官からお褒めの言葉をいただき、そしてその直後に細かいダメ出しも当然いただき(笑)、とてもよい経験になりました。 

 「Fly like you train, train like you fly」
 (訓練時のように普段は飛び、普段飛んでいるように訓練する)

 というフレーズがありますが、これはもっともで、いつもやっていることを訓練でもやることによって、仮に間違いがあれば訓練中に指摘され、修正することができます。 また、いつも訓練でもやっていることを普段のフライトに取り入れることによって安全な運航ができます。 

 毎回シミュレータ訓練というとちょっと緊張しますが、いつもなにかの収穫を得て訓練を終了でき、そしてまた普段のフライトに戻ることができ、とても充実感が大きく感じます。

 訓練はこれで終了で、また向こう6ヶ月は仕事ができます。 次回の訓練は来年4月。 これからは冬のオペレーションで、今までの夏のオペレーションとは違うことが多くあります。 まだまだ学ぶことが多くあります。

 訓練が終わった途端にクルースケジューラーから電話があり、「明日はカルガリー行きね〜」と言われました。 明日からまたばりばり働きます。


(つづく)

2017-09-25

フェリーフライトとグリーンランド・アイスランド。

 先日、ロンドンまで行って来ました。 大西洋横断ルート(通称NAT Track)は毎日西向き・東向きのルートが設定されます。 この日は南部に悪天候のエリアがあり、また、ジェットストリームの関係などもあってかルートの幾つかはかなり北部に設定されていました。 ロンドンを出発後、イギリスのシャノンという空域を通り、大西洋横断ルートに出ます。 この日のルートはNATA。 NAT TrackのAルートということで、この日の通過地点は下の写真のような感じでした。 

  
 いつもはもうちょっと南の方を飛ぶことが多いように思います。 今回のルートでは北部のアイスランドとグリーンランドの側を飛ぶことになりました。 


 上の写真はアイスランドのケプラビークの南部を通過している様子です。 このケプラビークは我々のETOPSの代替空港としてフライトプランされることも多い空港です。 この日の天候はあまり良くなかったようで、気象情報は着陸するのは可能ではありますが、雲の多い一日だったようです。 

  上の写真はグリーンランドの最南端上空を通過しているところです。 あいにく雲が多かったので全貌を見渡すことはできませんでしたが、それでも切り立った山岳地帯や、海に浮かぶ氷山の数々を見ることができました。 大きな国ですね。

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 話は前後しますが、先日ロサンゼルスまで飛行機をピックアップしにいってきました。 なんでも、ロサンゼルス空港のゲート付近で他社の飛行機と軽く接触してしまったようで、その修理のためにロスに数日滞在することを余儀なくされた機体です。 当日はトロントからデッドヘッドでロスに向かいました。 ロスまでは5時間ほどのフライトです。 
  アメリカ西部に近づくにつれ、地形に面白い変化が現れます。 当日はビジネスクラスでのデッドヘッドだったのですが、前席に座っていた女性はどうやら女優さんらしく、トロントで行われていたトロント国際映画祭の帰りだったようです。 顔を見ましたが誰だかわかりませんでした(笑)。

  上の写真のようなルートで飛んでいました。 それにしても機内スクリーンの古典的な日本語フォントはどうにかならないですかね・・・(苦笑)。


 ロスは快晴。 カラッとしていて気持ちがよかったです。 

 っと、ここまではよかったのですが、ロスに到着前に会社から入り、「修理に手間取っていて予定通り出発できそうにない」という連絡がデータリンクを通して届きました。 やれやれ、そんなことになるんじゃないかと予想はしていたんです。

 その後、本来は予定になかったのですが、空港周辺のホテルにチェックインすることになりました。 そして出発時刻が5,6回変更になり、結局はその日はロスでレイオーバーすることになりました。 
 
  翌日、やっと飛行機の修理が終わったとの連絡が入ったので空港に向かいました。 飛行機はユナイテッドの格納庫に駐機されていました。 

この日はトロントまで戻るだけのフライトで、いわゆる「フェリーフライト」でした。 お客さんは一人もおらず、機内にいるのは僕と機長だけ。 コクピットのドアもフライト中は開けたまま。 客室にいってもガランとした座席があるだけ。 なんとも不思議な光景でした。 せっかくの機会だったので、ギャリーの棚をすべて開けたりして飛行機の内装についていろいろ学ばせてもらいました。 

 っと、こんな感じで今月は結構忙しくしていました。 来月はまた半年に一度のシミュレータ訓練があります。 勉強します。


(つづく)

2017-08-28

ボーイング767、red-eye、そして健康。

 以前にも書いたかもしれませんが、ボーイング767は近い未来に退役することが決まっている機体で、来年には劇的に運航機材数が減らされるそうです。 一緒に飛ぶ機長に聞く話では、以前は767はそれこそまさに世界中を飛んでいたそうです。 中東に南米、ヨーロッパにアジア。 それが今ではそれらの路線はもっと多くの乗客を運べ、しかも燃費性能の良いボーイング787やボーイング777に取って代わられました。 僕が乗務する767は今では主に北米路線を飛び、海外便としてはイギリス・ロンドン、ドイツ・フランクフルト、あとは日本・成田便などを主に飛んでいます。 

 リザーブパイロットで、しかももっともセニオリティが低い僕が行かされる(行かせてもらえる?)のは主に国内線です。 特に多いのがトロントーバンクーバー便。 あとは時たまアメリカ・ロサンゼルスとサンフランシスコというのもあります。 でも、圧倒的にバンクーバー便が多いです(笑)。  
 
 先日、ちょっとバンクーバーで行きたいところがあったので、4連休の3日目だったのですがクルースケジューラーに「休日出勤オッケーです」というリクエストを送りました。 そうしたら結構早く電話がかかってきて、「バンクーバー便あるけど、行く?」って聞かれ、はいはい行きますと返事をしました。 休日出勤をするとお給料が割増になるという特典があります。 しかも、バンクーバーでやりたいことができるだけのレイオーバー時間もあり、一石二鳥でした。 お休みも1日だけは振替てもらうこともできたので、一石三鳥という感じです。 

 トロントからバンクーバーへのフライトは行き(西へのフライト)は約5時間。 帰り(東へのフライト)は4時間ちょっとという感じです。 ルートは天気や乱気流の報告などを元にディスパッチャーが精査して決定します。 ずっとカナダ国内を飛ぶこともあれば、ほとんどアメリカを飛ぶこともあります。 前回の帰りのルートはこんな感じでした↓


 よく見るとアメリカとカナダの国境に黒い細線が見えます。 このルートはバンクーバーを離陸後、ほんのちょっとはカナダ国内を飛びましたが、それからオンタリオ州にたどり着くまではずっとアメリカ国内を飛んでいました。 ですので、航空無線で話すのもソルトレイクシティー、ミネアポリス、クリーブランドなど、ほとんどがアメリカのATCです。 カナダ国内ではCPDLC(Controller Pilot Data Link Communication)というデータリンクを使用するので、無線で話をする数も減りますが、アメリカではCPDLCを使えません。 このCPDLCを利用すると、どこかの航空管制とコンタクトをしないといけない場合には「ポーン♪」というチャイム音がコクピット内に鳴り、「Contact Edmonton Center on 120.50」という風に文字で指示が送られてきます。 これをボタンを押して「Accept(承諾)」し、ラジオを使って話をするという流れです。 これは結構便利で、大西洋を渡るときにはVHF無線が使えないので、CPDLCを使います。

 僕がよく乗務するトロント発バンクーバー行きはトロントの夜に出発し、バンクーバーの深夜に到着します。 トロントとバンクーバーには3時間の時差があるため、バンクーバーの深夜0時頃というとトロントの午前3時頃になります。 これは正直そんなに大変ではありません。 逆にバンクーバー発トロント行きはこれまたバンクーバーの夜遅く(午後11時過ぎ)に出発の便が多いです。 この時点で既にトロントでは日付が変わって午前2時半です。 そこから4時間ちょっとフライトし、トロントには午前7時前に朝日が上ってくるころに到着します。 これが結構辛い・・・。 英語では真夜中に飛ぶフライトのことを「Red-eye flight」と呼びます。 日本語では「目の隈便」と呼ぶそうですね。 

 Red-eyeをやって帰ってくるとかなりクタクタです。 人間が寝ていなければいけないはずの時間帯に無理やり身体を起こし、頭を使って仕事をし、本来であれば胃腸が休息を取る時間帯に変なものを食べたりするというのは身体には堪えます。 日本でもトラックの運転手さんや看護師さんなど、夜勤をする人はきっと大変なんだろうな〜と今さら思うようになりました。 どこででも寝れる人とか、いつでも寝れる人であればこの類の仕事には向いていると思いますが、僕は残念ながらそういう体質ではありません。 夜遅く出発の場合にはなるべく日中に昼寝をするように心がけてはいますが、それすら難しいこともあります。 幸い、仕事中に眠くなるということはなく、目はしっかりと冴えていますので仕事に影響はありませんが、まだまだ慣れていないこともあってか、red-eye後に家に戻ってくると、その日は一日あまりなにもできません。 先日も朝8時頃に帰宅し、そこからソファーに横たわって4時間ほど眠り、さらに午後からも数時間眠ってしまって、一日特に有益なことはできませんでした。 こういうことをずっとやっているときっと身体にはよくないと思います。 

 以前の会社ではred-eyeのようなフライトをすることなくセニオリティの階段をスムーズに上っていったため、こんなに苦しい思いをすることはありませんでした。 また、リザーブでもありませんでしたので、自分が好きなようにスケジュールを組むことができました。 もともと僕は早朝に強く、深夜に弱い体質なため、red-eyeのように遅くまで起きているのは苦手です。 むしろ、朝4時に起きて仕事をし、午後の早い時間に仕事を終えるようなスケジュールのほうが得意です。 ボーイング767に乗務している限りは今のようなスケジュールが続きそうでいろいろ悩むところでもあります。 

 機会があるたびに先輩パイロットに「どうやって時差ボケとかred-eye対策をしています?」と聞くことにしています。 なにかきっと秘訣があるはず!と思って聞きまわっていますが、「どうやったって疲れるのには変わりないよ」という人が多いです。 ず〜っと時差ボケや睡眠不足と戦うことになるのがこの仕事という人もいます。 

 それでも「ワイドボディ」のボーイング767に乗務できているのはラッキーなので、なるべく楽しむように心がけています。 もうしばらくはこのままワイドボディを飛ばし、どうしても健康面などの理由で不満があるのであれば、ナローボディーであるエアバス320などに移ることも検討しています。  ナローボディーであれば前の会社で飛ばしていたルートや飛行内容と近いため、体調管理もきっとやりやすいのでは?と思っています。 ただし、機材変更となると、また数ヶ月の訓練と勉強が待っています。 それはちょっとなぁ〜っていうのが今の本音です(苦笑)。

 ここからは先日のフライトでロサンゼルス、バンクーバー、ロンドンに行った時の写真をどうぞ。

 白い砂浜が広がるロングビーチ。

 遊歩道のようなものが整備されていて、そこを走るのが僕のいつものコースです。

 木々がとてもアメリカ西海岸らしいです。

 さすがメキシコ系が多い西海岸、タコスが美味しいです。

 こちらはバンクーバー。 ホテルからインナーハーバーとライオンズゲートブリッジがちょっと見えます。

 橋を渡ってキツラノ方面へ。 サイエンス・ワールドが見えます(丸い建物)。


 こちらはイギリス・ロンドン。 カーナビーという界隈には買い物をするショップが多くあります。

 ロンドン・ヒースロー空港内には人参型のプラントが植えられています。



(つづく)
 

2017-08-07

リザーブパイロットの生活。

 僕が今の会社に入った時、グランドスクールには30名のパイロットが呼ばれていました。 僕はその30人のうちで一番セニオリティ番号が低いパイロットでした。 

〜セニオリティ番号とは〜
 通常、会社に入社した日付に基づいて各社員に割り当てられる固有の番号で、この番号が小さければ小さいほどセニオリティが”高く”、いろいろな面でセニオリティが高い人(番号が小さい人=早く会社に入った人)のほうが優位な選択をすることができます。 例えば、毎年の休暇を決めるときなどにはセニオリティが高い人から順に希望を出すことができます。 


 グランドスクールの中盤で「どのベースでどの機材を飛ばすか」を決める日がありました。 決めるのはセニオリティ順です。 僕は一応形式上は希望を出しましたが、30人中30番目なので、結局は「残り物」が回ってくることになりました。 選択肢にあったのは

  • ボーイング787のRelief Pilot (通称RP)
  • ボーイング767(メインライン)の副操縦士(通称FO)
  • ボーイング767(レジャーエアライン)のFO
  • エアバス320/321/319のFO
  • エンブレア190のFO

という感じでした。 機材を選ぶにあたり、いろいろ考慮することがあります。 パイロットの中には「僕は(私は)とにかく大型機を飛ばしたい!」という人がいます。 大きい飛行機のほうが小さい飛行機よりもエラいんだという考えが少なからずあるからです。 ただし、大型機を飛ばすということは、同時に長距離を飛ぶということを意味します。 なぜなら、大型機を短距離路線で飛ばすのはコスト高になってしまうからです(日本のように、どうしても大型機でないと旅客数をさばけないという場合は別ですが )。 ということは、それだけ家を留守にする日数も多くなる場合があります。 はたまた、パイロットの中には「どんな飛行機でも良いけど、とにかく働く日数を少なくしたい」という人もいます。 特に家族がいたり、小さいお子さんがいる人の場合には仕事よりもプライベートを優先することが多いです。 他にも、「なるべくお給料が高い飛行機がいい」とか、「楽なフライトが多い飛行機がいい」とか、「ベースは〇〇がいい」とか。 本当にいろいろ選択肢があります。

 僕はというと、希望は787か767でした。 やっぱり一度は大きな飛行機を飛ばしてみたいというのが心の何処かにあったからです。 ベースはバンクーバーがいいな〜と思っていましたが、それは叶わず、結局トロントベースのボーイング767の副操縦士に落ち着きました。 

 今までは、大型機のFOになるには、まずはRP(=リリーフパイロット。 第3のパイロット)になり、そこで経験を積み、数年してからやっと副操縦士に昇格できるというのが通例だったそうです。 このRPですが、原則的に離着陸はさせてもらえません。 主な仕事はその名の通りリリーフで、機長・副操縦士の業務を一時的に替わることで機長・副操縦士にフライト中に休息を取ってもらうことが主な目的のパイロット職です。 一昔前まではRPは下積みパイロットのポジションで、そこで頑張ってようやく副操縦士に昇格し、やっと操縦桿を持って離着陸をやらせてもらえるという感じだったようです。 ところが今は物事の流れるスピードが変わり、RPをやらなくてもいきなり副操縦士にいけるようになりました。 僕が業務していると、機長やフライトアテンダントの人に「入社いきなり767のFO? あなた、ラッキーだね〜!」と言われることが多々あります。 その通りで、僕は本当にラッキーです。

 ここまではいい話ですが、あんまりよくないことももちろんあります。 それが今日の本題。 リザーブについてです。

〜リザーブパイロットとは〜
乗務するパイロットに病欠が出たり、もしくはスケジュールの急な変更などでどうしても追加要員が必要になった場合に駆り出されるパイロットのこと。 リザーブ勤務日は予め決められていますが、実際に電話で呼び出されるかは前日もしくは当日まで分かりません。

 僕はこのリザーブパイロットです。 理由は簡単。 一番セニオリティが低いパイロットだからです。 僕は現在、トロントベースの767パイロットの中でもっともセニオリティが低いパイロットです(えっへん笑)。 そのため、あまり誰もやりたがらないリザーブパイロットに充てがわれているわけです。 現在、767のFOではリザーブパイロットが4名ほどいます。 その一番下が僕。

 僕のスケジュールはだいたい4日勤務で3日お休みです。 これがときどき4日勤務で2日休みや、5日連勤で4連休などになることもあります。 

 リザーブ勤務日は原則的にいつ会社に呼ばれるかわかりません。 24時間待機ですが、それでは大変でしょうということで「サイレントアワー」というものが設けられていて、午後9時から午前5時までは原則的に電話はかかってこないことになっています。 それ以外はずっとリザーブです。 朝5時きっかりに電話がかかってくることもありますし、お昼過ぎに電話がなることもあります。

 電話がなって仕事に呼ばれると、原則的に2時間以内に空港に到着していなければいけません。 ということは、リザーブである時はあんまり遠くに出かけることはできないということです。 電話がなるまでどこかで自由に遊んでいてもいいけど、2時間以内には自宅に戻って着替え、荷物をまとめて空港のフライトプラニングルームに出頭しないといけません。 これに間に合わないと最悪の場合はフライトの出発が遅れ、お客さんに迷惑をかけることにもなりかねないので、結構気を使います。 とはいえ、僕が住んでいるのは空港から電車で30分以内の場所なので、よほどのことがない限りは仕事に遅れることはないと思っています。 交通事情の悪いトロントですが、僕は電車通勤なので、渋滞などを気にする必要もなし。 かなり助かっています。 たま〜に、フライト出発時間から2時間以内に電話がかかってきて、「ごめん、なるべく急いで。 間に合わなくてもしょうがないのはわかっているから、とりあえずベストを尽くして!!」という電話で呼ばれることもあります(笑)。

 僕が副操縦士としてチェックアウトした当初は3週間ほどコールがなく、ずっと家で待機していました。 これは心理的にしんどかったです。 せっかくチェックアウトしたのだから飛びに行きたいとも思いますし、そもそも飛行機のことをまだまだ実際に操縦して学んでいかなければいけないのにその機会をもらえないというのはとてももどかしいものでした。 それから時間が経ち、今はリザーブの日のおおよそ6〜7割はコールがあります。 これで月に12〜13日くらい働いている感じで、これよりも少ないときもあります。 どこに飛ぶのか、誰と飛ぶのか、そしてどのくらい家を留守にするのかが分からないのはちょっと困ることがあります。 例えば、せっかく新鮮な野菜やフルーツをたくさん買ったのに、しばらく家を空けなければいけないとなると、自宅に戻るころには野菜がちょっとしなっとなっていることもあります(笑)。 

 一方で、リザーブパイロットをやっていると普段はいけないようなところに行けたりもします。 セニオリティが高いパイロットが担当するはずだった「おいしいフライト」を、そのパイロットが病欠などで休みになったりすると代わりに担当することもあるからです。 こういう理由で、わざわざリザーブパイロットを自主的にリクエストする人もいるくらいです。 

 多くのエアラインでは入社しばらくは生活環境や仕事環境があまりよろしくないこともあります。 しかし、時間が経ち、セニオリティが上がっていくにつれてそれらは向上し、いろいろと希望が通るようになります。 その域に到達するのに何年かかるかはいろんな事情が絡んでくるので一概には言えませんが、ほぼ間違いなく向上します。  それがセニオリティ制度のよいところだと思います。

 今回はリザーブについて少し書いてみました。 


(つづく)
 

 

 
 

2017-07-31

ペリカンと飛んでます。

 最近になって仕事道具を運ぶためのフライトバッグを新調しました。 フライトバッグ、またはフライトケースなどとも呼ばれるパイロットが持ち歩く鞄は会社によっては支給されるところもあるみたいです(国内の大手航空会社など)が、僕が働く会社では基本的に自由に好きなものを使えます(いくつか制約があります)。 以前僕が使っていたのは安価なこれ↓

 飛行機によっては操縦席の窓沿いにフライトバッグを入れるための穴があります。 その穴に収まるサイズでないといけないのですが、このバッグはDH8, CRJともに大丈夫だったので重宝しました。 また、以前はアプローチプレートや会社のマニュアルなどの電話帳ほどの厚みがあるバインダーを3〜4つも常時持ち歩かなければいけなかったので、このバッグの大きさは大変役立ちました。 しかし、最近ではそれらのマニュアルのデジタル化が進み、今はiPad一つで済みます。 なので、このようなカバンでは中が空っぽで、あんまり意味がありません。 また、3年ほどの仕様でだいぶボロボロの場所も出てきましたので、思い切って新しいバッグに移行しました。

 今回選んだのがこちら↓

 カメラやドローン、軍事兵器などを運ぶために人気のハードケース「ペリカンケース」の1430というモデルです。 特徴はトップローディング(蓋が上に開く)であることと、防水、耐衝撃性、そして高い機密性などがあります。 天気が悪い日にも最寄りの駅まで歩いて通わないといけない電車通勤のため、防水性能はとても気に入っています。 重さは以前のカバンと同じくらいで気になりませんし、とにかく頑丈にできています。 中の仕切りなどは僕の用途に合わないため、いろいろカスタムしています。 
 色はシンプルな黒で、ハンドルにはラバーが貼ってあるので持ちやすいです。 これをオーバーナイトバッグに引っ掛けて運びます。

  蓋裏側にはCocoonという会社が製造するGRID-IT!というオーガナイザーをネジ止めしてあります。 これによっていつもフライトで使う小道具を蓋裏に留めておくことが可能で、取り出し・収納も楽々です。 ちなみに左側から、ハンドワイプ(お手拭き)、フラッシュライト、iPadのチャージャーとケーブル、スペアのペン、チューインガムを入れています。

  中はこんな感じです。 左上にはライセンスやパスポートなどが入った書類ポーチとヘッドセットポーチ、右上にはメガネ、サングラス、海外滞在用の財布、メモ用紙等、そして下には会社支給のiPadとクリップボードが入っています。 また、見えにくいですが、右端には海外ルートを飛ぶ時に必要なプロッティングチャート(航空図)、下端には税関申告書類の入ったフォルダも入っています。

 ボーイング767に乗務するようになって、カバンに入れるものにも少し変化がうまれました。 それらがこちら↓

  最近では767は縮小計画のために海外路線を飛ぶことが減ってきたのですが、それでもイギリスのロンドンに行くことがあります。 そうなるとレイオーバー中の食事や買い物、運転手へのチップなどでイギリスの通貨(ポンド)が必要になります。 また、日本に行く場合にも円が必要になりますし、ヨーロッパだとユーロが必要ということもあります。 今でもアメリカには比較的良く飛びますので、アメリカドルも必要です。 そのため、僕はダイソーで買った小さなメッシュ袋にそれぞれの国の通貨を小分けして管理しています。

海外に行って困るのは電圧・電源プラグの違いです。 幸い767にはiPadをフライト中に充電できるようにUSBポートアダプタが配備されていますが、個人的な携帯の充電などは禁止されています。 そのため、滞在先のホテルで携帯を充電するためにはアダプタが必要になりますので、このマルチアダプタをバッグの中にいつも入れています。
 このようにはめ合わせると小さいブロックになり、これでバッグ内でも場所を取りません。

 
  もちろんバッグには767のステッカーを貼ってあります(笑)。

 このバッグを持っていると、一緒に飛ぶ機長達にほぼ毎回「なにそれ?」って聞かれます。  普通のバッグとちょっと形が違うから興味を持たれるみたいです。 このバッグは本当に万能で、車に引かれても壊れないほど強靭にできているため、自宅では踏み台として役に立つこともあります。

 以上、バッグのご紹介でした〜!


(つづく)
 

2017-07-06

リトル・ベネチア。

 先日、またロンドンへのフライトがありました。 今回はトロントからハリファックスまで飛んで、そこからロンドン・ヒースロー空港へのフライトで、帰りはロンドンからオタワまでのフライトで、オタワからトロントまではデッドヘットという感じでした。 

 ハリファックスからロンドンまでのフライトは5時間ちょっとと、それほど長くはありません。 ただ、ハリファックスを出発するのがトロント時間のちょうど真夜中くらいで、夜通し飛んで、ロンドンに到着するころにはトロント時間で午前5時過ぎくらいになります。 これがロンドン時間だと午前10時頃。 もうなにがなんやらわかりません(笑)。

 ロンドンからオタワは結構長くて、約7時間のフライトです。 そもそもオタワはハリファックスよりも西に位置し、さらに西向きのフライトになると偏西風のせいで向かい風で飛ぶのがほとんどです。 そのため、飛行時間が長くなります。 この7時間のフライトがが結構きつい・・・(苦笑)。 いっそのことフライト時間がもっと長くなれば規定に則って「オーグメントパイロット」という3人目のパイロットが乗務することになります。

 このオーグメント(augment)とは「増大させる」という意味の言葉で、文字通り、「飛行可能な時間・距離を増大させるためのクルー」という意味になりますでしょうか。 飛行時間が10時間を超えるようなフライトになると必ずオーグメント、または、リリーフパイロットという3人目・4人目のパイロットが乗務し、フライトの途中で交代しながら休憩・仮眠を取ります。 こうでもしないと到達できないところがあるんですね。 例えばトロントから中国へのフライトなどは飛行時間が軽く10時間を越えますから、これを二人だけのクルーで飛んでいるとそもそも法的に乗務できない場合が出てきます(一度に乗務できる時間は制限されていますので)。 

 なにはともあれ、今回のロンドンまでのフライトもいつもどおりスムーズに行きました。 相変わらずイギリス英語の航空無線に苦労させられることもありますが、3度目ともなるとだいぶ慣れてきました。 何事も慣れですね、本当に。 ロンドンは毎回どこかでホールド(空中待機)させられます。 我々がロンドンに到着するころに、同じようにロンドンの空域に入ってくる航空機の数が多すぎて管制官がさばききれなくなるので、どこかで空中待機をさせられます。 今のところ毎回オッカムという場所にある航空無線標識局の上でぐるぐる〜っと旋回させられます。 だいたい時間にして10〜15分ほど。 そして我々の着陸の順番が来るとレーダーベクターとスピード制限で細かくコントロールされ、最終的に着陸ということになります。 ロンドン空港は独特なあるあるが結構あります。 これはまた次回にでも。

 今回のレイオーバーでもいろんなところに足を運びました。 まずはオールドボンド通りなどの商店街を通ってイギリスで有名な靴屋さんを何件か回りました。 ちょうど今はセールの時期なので、いたるところでバーゲンをやっていました。 僕は結局なにも買いませんでしたが、イギリスの昔からの職人が作る革靴というのはとても魅力的で、お店に入るとレザーの匂いに圧倒されます。 そういう体験ができるのも実際にロンドンに行ったからこそ。 良い体験をしました。 それからはピカデリーサーカスやオクスフォードサーカスといった有名な通りを歩きました。 翌日にはランニングで運河沿いに散策してみました。 

 グーグルマップを見ていて気付いたのですが、ロンドンには「リトル・ベネチア」という場所があります。 運河が交わり、ボートハウスなどがあってなかなか雰囲気が良いです。 カナダに帰る数時間前にここを走ってきました。 ワイドボディのパイロットになって海外に来ることが増え、こういう貴重な経験をレイオーバー中にできることがなかなか楽しいです。 時差ボケや夜中中フライトするなど辛いこともありますが、それでもナローボディーで国内を飛んでいるのとは違った楽しみがあると思います。

 では今回のレイオーバーの様子を写真でどうぞ。
 
 ハリファックスで出発前に食べた夕食。 ラザニアでした。

ロンドンのイーストエンド。 テロなどがあったせいか、至る所に「ロンドンはすべての人々を歓迎します」的なメッセージが掲げられていました。 日本語でようこそって書いてあるのもちょっとおちゃめ。

ピカデリー・サーカスと2階建てバス

リトルベネチアにつながる運河とボートハウス。 ボートハウスには実際に人が住んでいて、船の外でモーニングティーを飲んでいる人を見かけることもあります。

リトルベネチア。 船のクルーズなどがあるみたいです。


 ロンドンを出発し、7時間ほどのフライトを経てオタワに到着しました。 それから税関審査・入国審査を経て、30分後にはトロント行きのデッドヘットフライトに乗っていました。 予定では2時間ほど後のフライトでトロントまでデッドヘットの予定でしたが、うまいこと早い便に乗ることができました。 こういうのはベテランパイロットが良く知っています。 今回も一緒に飛んでいた機長がいろいろ知っている人で、「2本早いフライトで帰るぞ!」って意気込んでいて、見事に早い便に乗ることができました。 一般の乗客として旅行していたら30分で入国審査や身体検査場を通過するのはほぼ不可能です。 我々はクルーバイパスと呼ばれる空港で働く職員などが通る特別な入り口を通るので圧倒的に早く身体検査などを通過することができます。

 

(つづく)