2014-08-28

またまた東海岸でのフライト。

 前回の更新からしばらく経ちますが、その間にまた東海岸へ行って来ました。 今月2回めです。 初日はカルガリーからトロントまでデッドヘッドで移動し、そこからSault Ste Marieというところまで行きました。 ソルト・ステ・マリーって書きますが、「スーサンマリー」って発音するんだそうです。 現地の人や、ATCの人は略して「ザ・スー」って言ってました。 Saultはフランス語でFall、SteはSaintの女性形、Marieは名前で、セントマリーフォールっていうのが英語訳になるみたいです。 

 このスー、アメリカとカナダの国境にある市で、アプローチ中にアメリカ側から入ってきて、カナダ側に着陸するというユニークな空港です。 アメリカ側にもスーっていう都市があるらしく、ATC Clearanceでは「Cleared to Canadian Soo」とかっていうこともあるんだそうです。 間違ってアメリカに降りちゃったら大変ですからね(笑)。 この日は1フライト飛んだだけで終了。 楽っていえば楽だったんですが、カルガリーとスーサンマリーの時差は2時間。 ビクトリアからだと3時間です。 しかもDHフライトは約4時間で、カルガリー時間の朝5時過ぎにはクラッシュパッドを出発したので結構疲れちゃいました。 その日はホテルで一泊。 ホテルはウォータータワーが目印の、その名もThe Water Tower Inn。 ローカル色丸出しって感じです(苦笑)。 大学が近くにあって、少しだけ歩きましたが、なかなかゆったりと時間が流れている感じの街のように感じました。 住みたいか?と聞かれると答えはNOですけど(笑)。


 次の日はスーサンマリー→トロント→スーサンマリー→トロント→サドベリーというフライトでした。 さすがにトロントも2回目だったので、だいぶ慣れました。 相変わらずカルガリーやバンクーバーと比べるとタクシーが面倒だし、無線も早いし、周波数をしょっちゅう変えないといけないので忙しかったです。 この日はサドベリー泊。

 サドベリーはニッケルや銅の鉱山で潤っている街だそうです。  なんでも、大昔に隕石が衝突して大きなクレーターが形成されたのがこのサドベリーだったとか・・・。 そのせいでか、地下資源が豊からしく、そこにいろんなところから労働者が集まっているそうです。 ちょうど、僕が以前働いていたフォートマクマレーと同じような感じの街で、独特の雰囲気が漂っていました。 ホームレスの人とか、怪しい感じの人がそこら中にいて、正直街を散歩していても気持ちのよいところではなかったです。 

 3日目は前回のペアリング同様、アメリカへのフライトでした。 サドベリー→トロント→クリーブランド→トロント→ボルティモアという感じです。 前回、アメリカへの入国審査のときに審査官の女性が、 「これがあればパスポートにいちいちスタンプを押さなくてよくなるから、パスポートのページを無駄に消費しなくて済むからね」って言って僕のパスポートに紙切れを一枚、ホッチキスで留めてくれました。 これのおかげでアメリカ入国のときには審査官がスタンプを押す変わりにペンでさらさら〜っとなにか書いてくれておしまいです。 この紙1枚でアメリカ入国30回分くらいはいけそうなので、パスポートのページ追加とかを申請しなくて済みます。 思うんですが、パイロットの制服を着ていると、アメリカもカナダも入国審査官がとてもフレンドリーです。 乗客として入ってくると超渋い顔で笑顔すら見せないのに、僕がパイロットだと超やさしいです。 なんだかへんな感じです・・。 今回はクリーブランドからトロントに戻ってきてボルティモアに行くまでに2時間以上カナダ側での待機時間があったため、ルール上、一旦カナダに入国しなければいけませんでした。 なので、一旦カナダに帰国、そしてまた1時間後くらいにカナダを出国してアメリカへ入国っていう感じでした。 1日にアメリカに2回入国したのは今回が初めての経験で、島国の日本育ちの僕としてはなんだか不思議な感じがしました。
 


 アメリカはやっぱり飛行機大国で、ランプに停っている飛行機の多くはジェットです。 ターボプロップ機はあんまり見かけませんでした。 

 今回は一緒に飛んだ機長もカルガリーベースのキャプテンで、以前に一緒に飛んだことがあるということもあってとてもリラックスして、楽しい4日間のペアリングになりました。 FAさんもモントリオールの男性で、無口だけど口を開くと面白いことをいう人で、一緒に仕事していて気持ちがよかったです。 特に大きな問題も起きなかったので、スムーズに仕事ができました。 今回はハードランディングもしなかったし(笑)、なかなか満足の行く仕事ができました。 今後も月に1回か、2ヶ月に1回くらいのペースで東海岸のペアリングをやれたら仕事のバラエティが増えて楽しいかな〜と思っています。 でも、慣れたカルガリーやBC側でのフライトのほうが頭を使わなくていいので楽っていえば楽なんですけどね(笑)。


(つづく)

2014-08-20

行って来ました、カナダ東海岸。

 先日、カナダ東海岸での仕事がありました。 僕のベース空港はカルガリー。 西海岸です(「海岸」って言っても海はないですけど・・・)。 でも、乗務するのは東海岸っていう不思議なスケジュールでした。 4日間連続勤務の4-day pairingで、一日目はカルガリーからエアカナダのオタワ行きの飛行機に乗り込んで乗客としての移動でした。 これを"Deadhead(デッドヘッド)"といいます。 日本語訳すると「無賃乗客」ってなるみたいですが、これだとなんだか聞こえが悪いですよね(笑)。 オタワまでは約4時間のフライト。 長い・・・。 以前にもこのブログで書いたかも知れませんが、僕は飛行機は好きですが、乗客としてフライトするのはかなり苦手です。 デッドヘッドの時は空席があればビジネスクラスに座らせてもらえることもあるのですが、この日はあいにく満席。 乗務前にエコノミークラスで4時間のフライトはなかなか身体に応えます(笑)。

 オタワ到着後、4日間一緒に飛ぶ機長と合流。 フライトアテンダントはトロントベースの若い女性のFAさんで、最初の二日間だけ一緒に働きました。 その日はオタワからフレデリクトンまでのフライト。 この日はいつもカルガリーで飛ばしているDash8-300シリーズではなく、ちょっと短めで座席数の少ない100シリーズで、システムとか出力の設定なんかが微妙に違います。 僕がシミュレーターで訓練をしたときはこの100シリーズだったんですが、実際の乗務はこれまで100%、300シリーズだったので、このときが100シリーズに乗る初めての日になりました。 

 フレデリクトンはいかにも東海岸だな〜っていう雰囲気でした。 以前にアメリカの東海岸に行ったことが何回かあるんですが、住宅様式とかがアメリカ東海岸で見たものと良く似ていました。 17世紀にフランス植民地の拠点になった街の一つらしく、今でも当時の軍関係の建物とかがそのまま残されています。 

 確か市役所

 以前は線路がかかっていたみたいです

 泊まったホテルもなんだかアンティークな感じ

 軍関係の建物

 軍の倉庫・宿舎?

 今は改装されて、商店などがテナントとして使っているみたいでした


 二日目はこれまたトロント空港までデッドヘッド。 1時間半ほどのフライトでした。 そしてそこからティミンズ空港への乗務でした。 トロント空港はカナダ最大の国際空港です。 滑走路は5本(?)あるし、誘導路も複雑なので、ゲートから滑走路までのタクシーがなかなか大変でした。 とにかく飛行機の数が多くて、最初の離陸のときなんかは出発の順番が11番目とかでした。 僕らは結局10分程度ブリティッシュ・エアウェイズのB787の後ろで離陸順番待ちをしました。 トロント空港は大きな空港ですが、離陸してしまえばあとはカルガリーやバンクーバーと特に変わりもなく、いつもどおりのフライトっていう感じになりました。 途中、モントリオールの上空を通過しました。 すべてが初めてだったので、フライト中はコクピットの窓から見える景色を楽しませてもらいました。

 あとの2日はアメリカのクリーブランドとボルチモアに行きました。 これについてはまた次回。

 今回の東海岸でのペアリングをやってみて、エアラインは本当にすごいな〜と改めて思いました。 今まで一度も行ったことがないところに、初めて一緒に仕事をするクルー達と一緒に飛んで行くんです。 「初めまして」と言って握手をして、そこから皆がマニュアル通り・訓練通りにいつもと同じ仕事をし、乗客の皆さんを安全に目的地まで送り届けます。 そして仕事が終わると、また握手をして「一緒に働けて楽しかったよ」といってクルーたちとはお別れします。 またどこかで一緒に飛ぶことになるかも知れないし、もしかしたらもう二度と一緒に飛ぶことはないかも知れません。 そういうのは当たり前のことなのかも知れないけど、僕にはすべてがとても新鮮でドラマチックに思え、特別な経験のように感じました。 そんなプロフェッショナルなエアラインで働けていることが改めてとても幸せに感じました。 

 そんな特別な経験を東海岸でさせてもらったような気がします。


(つづく)